今回は、公正証書遺言について説明します。
Contents
公正証書遺言は、だれが作成する?
自筆証書遺言は、財産目録に記載すべき事項以外は、すべて、ご自身で手書きして作成しますが、公正証書遺言を作成できるのは、公証人だけです。
公証人とは、公的な証明のための書類である公正証書などを作成する公務員です。
この公証人になれるのは、裁判官や検察官出身者など法律の実務経験を有する人であり、この公証人が執務をするところが、各地にある公証役場です。
公正証書とは、遺言に限られず、後見人の選定など、一定の事実関係等を公に証明するための公文書をいいます。
この公正証書を作成できるのが公証人だけなので、公正証書遺言が作成できるのは、公証役場に属する公証人のみという訳であります。
そのため、他の2つの遺言である自筆証書遺言や秘密証書遺言よりも、高い信用性と効力が認められています。
公正証書遺言の作成方式
つぎに、公正証書遺言の作成方式について説明します。
①遺言者が、公証人の面前で、遺言の内容を口授する。
②それに基づいて、公証人が、遺言者の真意を正確に文章にまとめ、書遺言を作成する。
③遺言者と証人が、その遺言書が正しいことを確認し承認する。
④その上で、各自署名押印し、公証人が法律に従って作成した旨を記述して署名押印する。
簡単に言いますと、遺言をする本人が、公証人役場へ行き、公証人に対し自分の考えている遺言の内容(メモ程度の準備でOK)を直接、話しをすれば、公証人の方で、その内容を書面にし、遺言書を作成してくれます。
この遺言書の内容が正しいことを遺言者と、2人以上の証人(通常は2人)が確認し、遺言者、証人、公証人が、記名押印すれば、公正証書遺言の完成となります。
2名以上の証人とは?
公正証書遺言をするためには、遺言者の真意を確保するため、証人2人の立会いが必須となります。
この証人には制限があり、未成年者や、遺言の内容に利害関係を有し不当な影響をあたえるおそれのある者など、証人になれない人もいます。
この制限に反しなければ、信頼できる友人や、親戚など、ご自身で自由に手配いただけますが、この証人については、ふさわしい専門家を公証役場で紹介してもらうことができるので、大丈夫です。
専門家には守秘義務がありますので、遺言をしたことや、遺言の内容など、大切な情報が、他に漏れる心配はありません。
公証人役場まで行けないときは?
では、遺言者本人が病気や入院などで、公証人役場へ出て行けないときはどうしたらよいでしょう?
このような場合は、公証人が自宅や病院まで出張してくれます。
遺言の内容について
遺言の内容について、思い悩むことも少なくないと思います。
でも、心配いりません。上記のとおり公証人は、長年、法律実務を経験した専門家ですから、安心して、相談することができます。
そして、法律的にキチンと整理した内容の遺言にしますし、方式の不備で遺言が無効になるおそれもないので、安全確実な遺言方法となります。
公正証書遺言のメリット
①法律的に整理され、方式の不備で遺言が無効になるおそれがない。
②検認の手続が不要のため、相続開始後、速やかに遺言の内容を実現することができる。
③原本が必ず公証役場に保管されるので、遺言書が破棄されたり、隠匿や改ざんをされる心配がない。
安全性、確実性が高いので、遺言書作成のご相談をいただいた場合、公正証書遺言をすすめるケースが多いです。
公正証書遺言のデメリット
以上のとおり、公正証書遺言は、メリットが多く、安全確実な方法のように思われますが、遺言者にとっては、費用のかかることが難点と言えます。
公証人への手数料については、こちらをご参照下さい。
日本公証人連合会HPより(手数料)
また、自筆証書遺言と違い、一人では作成できず、公証人や2人以上の証人など、第三者に手続きに関与してもらう必要があります。
信頼のある証人を選ばなければ、うっかり他人に漏らされてしまう危険もあります。
結論
遺産をどう残すのか。時間がたては、状況は色々変わってきます。遺言は、何回でもすることができます。
※一番新しい日付のものだけが有効になります。
自筆証書遺言を残しておき、本当に、心づもりができたときに、公正証書遺言を残すという方法も視野にいれておいても、よいかもしれません。