相続法が改正された経緯
民法のうち、相続法については昭和55年以降、大きな見直しはありませんでした。
この間、社会の高齢化が進むにつれ、残された配偶者も高齢となるケースが増えてきました。
今回の民法の相続法の改正により、このような社会経済情勢の変化に対応するため、残された配偶者の生活を保護する方策が新設されました。
また、相続の争いを防ぐために、遺言の利用を促進するための自筆証書遺言の方式の緩和する方策が盛り込まれる等、見直しがされています。
改正相続法の主な内容、6項目
1.配偶者の居住権を保護する方策を新設
(1)配偶者居住権(配偶者の居住権を短期的に保護する)
(2)配偶者短期居住権(配偶者の居住権を長期的に保護する)
2.遺産分割に関する見直し
(1)婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の遺贈又は贈与(持戻しの免除を推定し、配偶者を保護する)
(2)遺産分割前における預貯金債権の行使(預貯金の払戻し制度や、要件など)
(3)遺産の一部分割
(4)遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲
3.遺言制度に関する見直し
(1)自筆証書遺言の方式の緩和(詳細はこちら)
(2)自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度の新設
(3)遺贈の担保責任等
(4)遺言執行者の権限の明確化
4.遺留分制度に関する見直し
5.相続の効力等に関する見直し
(1)共同相続における権利の承継の対抗要件
(2)相続分の指定がある場合の債権者の権利行使
(3)遺言執行者がある場合における相続人の行為の効果等
6.特別の寄与(相続人以外の者の貢献を考慮する)
参考 ~改正相続法の施行日~
➀平成31年1月13日 自筆証書遺言の方式を緩和する方策
②令和元年7月1日 ⓵③④以外について
③令和2年4月1日 配偶者居住権及び配偶者短期居住権
④令和2年7月10日 法務局における遺言書の保管制度